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2006年02月17日の記事

2006年2月17日(金) 09:23

レイヤー0の世界から

バイト終了後戦友Tと熱いトークが弾む。(気がついたら深夜やん!)
そこで脳みそが久しぶりに刺激されたので熱いうちにメモエッセイを残しておく。

(ちょっと長めなので続きは↑のリンクから。)


 土屋先生の「本当にユビキタスな情報社会へ向けて」という一稿にあるように、情報処理機器が発達していけばしていくほど文明は高度になるのかもしれないが、それはさておきこういった機械を手放すことは人類にはできないだろうし、だからエネルギーの消費量が指数対数的に増加していくことは間違いない。そもそもインターネットは低レイヤーのエラーにこそ弱いのだ(だからこそ故障したときのオペレーティングとしては低レイヤーから原因を疑っていく。)。レイヤー1(物理層)を動かすエネルギーとなるのが電力なのだから、電力基盤をレイヤー0と呼んでもいいかもしれないし、そうすると電力の話もインターネット屋さんは考えていくべきだろう。

 僕らは電気を何気なくプラグから取得しているが、当然電気会社から購入しているわけで、水力火力原子力などの発電によって賄われている。しかし年々電力消費量は増えているし、石油に頼りきった発電もひとたび産油国とひと悶着あればとたんに経済不安になる。そんな電力事情だからこそ近年のホットトピックは”電力の自由化”らしい。
 だが自由化といった規制緩和には慎重論が付きまとう(何故かは後述)。それでもエネルギー効率を上げるという意味で電力自由化の問題は遠からず正面から向き合わなければいけない問題だ。

 例えば小さな電力会社が認可されたとして、その電力を供給するためには大手電力会社の伝送網を使わなければ家庭まで供給できないが故に幾重にも電力会社を経由しなければならない(特に距離があればあるほど。)。こうすると関税の如く回線使用料がかさみ、結局自由化しても安い電力が提供できなくなり小さい会社の市場価値がなくなってしまう。あったとしても子会社か、大手のために電力を作り続ける”電力奴隷”だ。こういった問題を”パンケーキ問題”というそうだ。(どんどん使用量が積み重なっていくから。インターネットの地域ISPにも見られるね。)
 自分たちで伝送網を持とうと思ってもそうはいかない。まだインターネットは微弱な電波帯(エネルギーとして使える電力と比べれば)でパケットで運ぶために空気伝送もできるし、一部のパケットが失われてもあとから再送してもらえれば事が済む”プアーなアーキテクチャ”をしている。
 だが電力は生活基盤であるから”断線”に対してセンシティブで、”途切れない信頼性”にこそ市場価値がある。無線空気伝送もできない(今の技術でそんなことしたら死ぬ。単なる放電だ。)上にHDDに溜めるが如くの貯蓄もままならない。だからこそ大手の伝送網に頼らざるを得ないし、そうすると自由化するメリットがなかなかでてこない。
 こういった話は欧米諸国の”電力自由化”の失敗から学んでいるらしい。どうやら向こうは自由化したことで「発電会社」「発電して大手に引き渡す会社」「引き渡すだけの中継会社」などの会社が乱立し、その統率する会社もできたはできたが上手く機能せず、結果末端の断線が長時間の大規模停電を及ぼした、という事例がある。
 特に日本は”信頼性”に異常なまでの市場価値があるからこういったことがあるとその誘発要因を徹底排除したがる傾向がある。保守的だからとか社会主義的資本主義経済だからとか、そういったことはさておきこれが慎重論の大元だと思う。当然この慎重さは必要だし、これからもある程度は持ち続けるべきだろうけれどそれだけでは前に進まない。事実避けて通れない問題のはずだ。だからこそ日本に適したリモデリングをするといった「政策の創造的エミュレーション」が必要だ。


 要はレイヤー1が物理層だとしたら、その物理層を動かすための基盤となるエネルギーがレイヤー0であり(勝手にそう呼んでるだけだけど)、その意識を持たなければ思わぬ形で足元をすくわれるのではないか、ということであるし、足元ばっか見てると頭ぶつけるぞ、ということだ。
 これは事前に気をつけておくことで緩和されるし、グランドストラテジーを考えるとはそういうことなんだろうなぁ、と思ったりもする。

 具体的にどうせよ、というのは・・・

 研究テーマになりそう、じゃだめ?(えへっ

参考:HotWiredとか土屋先生の記事とか友人のおはなし。

written by sofuwe [授業・研究] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)]

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